第1章 登校

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2人の性格は不真面目、真面目の両極であるらしく、刺々しいやりとりが行われる。 「そんなに規則厳しくねーし、まあ早く終わらせて帰ろうぜ。早くゲームしたいし」 「はいはい、もう分かったから。ちょっと黙ってて。任務の内容は、第5位ゼーレエッサーの確認と討伐。出現予定数は1体ね」 「はぁー?たった1体かよ。つまんねぇ。せっかく最新の小型爆弾持ってきたのに」 ひょいひょいっと片手に収まる程の大きさの火薬の詰まった黒球を宙に放って玩ぶケイン。 「ちょっ、あんた、まさかそれ盗んできたとかじゃないわよね?」 「え?実戦試験ってやつだよ、試験。武器ってのは試してみないと使えるか分かんないじゃん。威力を確かめてやろうと思ってさ」 新しいものを早く試したいと、わくわくしているのが言葉の調子から伝わってくる。 「地上に被害が起きたらどうすんのよ。もしそんなことになったら私たち……死刑かも」 「大丈夫だってエリス、野球で鍛えたコントロールで完璧さ。おっと、話してる間に敵さんの登場だ」 第5位のゼーレエッサー、その姿形は地上に存在する生物を倣っていると考えられている。 今回の敵は馬を似せているつもりだろうか? 多少、耳が長すぎる印象を受けるが、まあ不完全なものが多いのも事実。 だが、最も下位のクラスであるにも関わらず、その異形から放たれる威圧感は凄まじい。 神の2人もそれまでの雰囲気とは打って変わり、表情が引き締まる。 「いきなり口数が減ったわね、ケイン」 すこし小馬鹿にしたような言い草に、ケインの表情に笑みが浮かぶ。 「何言ってんのさ。戦いの前には静けさってのが付きもんなんだぜ」 そう言うと、一気に敵に向かって突っ込んでいく。 「お試し一発、ほらよっと!」 大きく振りかぶり、小型爆弾を力一杯に目の前の敵に投げつける。 高速で近づくことにより加速された豪速球が直線上の的に向かっていくのを確認し、そのまま左に急旋回、爆発の被害を受けない距離をいっきに確保する。
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