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「さて、どんなものかなー」
暢気に爆弾の威力を確認しようとエレンの隣に並び、手をかざして観察する体勢をとる。
一連の動作にかかった時間はほんの数秒。
低級の神でもこのくらいの移動速度は出せる。
原理は簡単で、移動する際に空気中の霊子で空気を包んで圧縮し、それを一気に解放することで生み出される圧力に押されることで瞬時に移動できる仕組みだ。
「前より早くなったじゃない。負けてられないわね」
そう言われたケインは照れながら「まぁな」と言って頭を掻く。
「なに照れてんのよ」
言わなきゃ良かったとため息を吐きながら肩を落とすエレン。
いつの間にかお互いに向き合って話していたが、ふと、2人とも何かおかしいことに気づいた。
そう、爆発が起きていない。
不発弾だったのだろうか?
不審に思い、振り返った2人の目に映ったのは、無傷のゼーレエッサーと、その周りに張られた薄い霊子の膜に軌道を逸らされ、重力により地上に向かって落ちていく爆弾。
「おいおい、どうなってんだ!」
慌てて爆弾が地上に落ちるのを防ぐために飛び出そうとするケインの手をエリスが思いっきり引っ張る。
「なにすんだエリっ!!」
言い終わらぬ内に、先ほどまでいた位置を高濃度の霊子帯が通り過ぎる。
ゼーレエッサーの攻撃手段であり、いわゆるレーザービームのようなものだ。
「……あ、ありがとう、エリス」
よほど驚いたのか声が震えている。
緊迫した状況に陥ってしまったことに混乱しているのかもしれない。
「戦場では常に敵を第一に意識しておかないといけない。初歩の初歩なのに、怠ってしまったわ!」
悔しそうに言ったエリスは拳をきつく握りしめた。
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