第1章 登校

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「待て、少年。彼女はまだ存在できる」 神の声のように聞こえた。 「……助かるのか?本当にっ!」 神にお願いするように、俺は心から男に言った。 「お願いします、楓を助けてください!」 大きく頷いて了承すると、男は楓に近寄り片手をかざした。 だが、その手は身体ではなく、その上空に向けられている。 「汝が魂よ、いま一度の転生を認めよう。ブライアンの名の下にっ!」 楓の身体が浮き上がり淡い暖色の光に包まれる。 その刹那の後に、ゆっくりと重力の影響を無視して、俺の腕の中に楓が降りてきた。 驚いた事に、その身体は完璧に爆発前の状態に戻っていた。 だが一向に目を覚ます気配はない。 ……そうだ、男は『存在できる』と言ったんだ。 生き返るとは言ってなかった。 期待した俺が馬鹿だった。 そうだよな、助かるわけなんかないよな。 諦めに肩を落とし、空を見上げたまま動けない。 そこに楓の姿を見ているかのように。 「おい、少年。最後の仕上げを頼む」 「……え?……仕上げって?」 まだ終わってない? 本当に助かるのか? しっかりしろと、気付けに頭を大きく振る。 今助けてやるからな。 「おれに出来る事は何でもします。いったい何をすれば?」 「ああ、簡単な事だ。口づけをしてくれ」
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