第2章 どうしてこうなった!?

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          *  * 「さてさて、期待の新人はどんな子たちか……」 顔のサイズに比べて幾分大きすぎる丸ぶち眼鏡が、窓から差し込む日光で黄白入り交じった淡い色にきらめく。 廊下を歩く少女の前には日差しのカーテンが立ちふさがるように翻っている。 何もかもを優しく包み込んでしまうのではないかと錯覚してしまう程に、その光は温かさに満ちていた。 その無機質なはずの空間が少女を喜んで迎え入れているようである。 少女は眩しさを一切感じていないのか、まぶたは微動だにせず、その双眸は澄み切っていた。 その表情は思索に耽っているときのそれである。 部室まではあと数メートル、対面の瞬間はまもなくだ。 わくわくしているのか思わず笑みが浮かんでしまう。 「イレギュラーな存在。めったにお目に掛かれないから楽しみじゃ」 一歩一歩、光の薄膜を突き抜け、気分が高揚していくのを感じながら部屋に近づいていく。 入り口の前でドアをじっと見つめ、そっと取っ手に手を伸ばす。 「部長らしくなっ!」 少女は自分で自分を鼓舞すると、そのまま思いっきりドアを押し開けた。
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