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「まったく、なんというやつじゃ」
「まあまあ、そんなに怒らなくても。それにちょっとやりすぎですよ、意識を失わせるなんて」
鈴はソファに横たわっている遊星を心配そうに見つめる。
「なんじゃ、こんな霊子操作も切り抜けられんとは、情けない」
部室内という狭い空間において、意識を失った遊星をめぐって物議が醸されている最中であり、今は鈴による必死の擁護が行われている。
子ども扱いされた部長が被害者、子ども扱いした遊星が加害者といった具合である。
鈴は部長の機嫌を直しつつ、同時に遊星の弁護もするという極めて難しい舵取りを要求されていた。
「この子は今日霊子に触れたばかりで、しかもその事に気づいてないはずです。いきなり操れる訳ないじゃないですか」
「ふんっ、図体ばかりでかくとも使いもんにならんと意味ないな。わしみたく、中身がしっかりしておらねば。そうであれば、わしの霊子空間から抜け出す事も出来たはずじゃ」
どうにも部長は小学生扱いされた事を根に持っているらしい。
「見た目でどうのなんて、そんな無茶言わないでください。私も何年も修行してようやく今のレベルまで来たんですから。初めは自分の霊子を動かす事さえ出来なかったんですよ」
「おぬしはもともと6才から修行を始めたから当然じゃ。己の霊子を意のままに扱う事が出来るようになるのは大体10才くらいなのじゃから」
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