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康介は、しばらく黙ったまま考えていたがやがて、顔を上げると
「ごめん莉乃。莉乃の事は好きなんだけど。ごめん・・・」と言うばかりだった。
理由は言わない。
でも解る。
康介は私との穏やかな生活よりもゆかりとの身体の相性を選んだのだ。
莉乃は、この時初めて自分の感情が表面に出てくるのを抑えられなくなった。
ゆかりが憎かった。
愛する人を莉乃から奪うゆかりが・・・。
そして、5年もの結婚生活を送っていながら妻を捨てようとする康介が憎かった。
莉乃の心の中に、二人がベッドの中で愛し合う姿が目に浮かんできては、莉乃の心の中に増悪と言う思念を育てる。
莉乃は、今まで持ったことのない感情に押し流されそうになっていた。
次の瞬間には莉乃の心の中には悪魔が住み着き始めていた。
その悪魔が囁く。
「なぜ、お前だけが不幸にならなくちゃいけないんだ。止めておけ。康介をいかせるな。いっそ、ここでミイラにしてしまえ」と囁く。
莉乃の瞳が暗い光を宿しはじめる。莉乃はある考えがひらめく
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