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「ねえ、康介、分かったわ。別れてあげる。康介は、ゆかりさんの身体がイイんでしょう」と康介の耳元で囁く。
康介は、答える事が出来ない。
ただ、頭を垂れて頷くのみだった。
「康介、良いのよ。私は理解ある妻だったでしょう。最後まであなたへの理解を示すわね。別れてあげる。だから、最後に私のお願いを聞いてほしいの。いいでしょう」と甘えた声を出して言う。
康介は顔を上げると妻の莉乃の顔を見た。
莉乃の美しく優しい顔がそこにあった。
康介は「ごめんな。決して莉乃が嫌いなんじゃないんだ。ゆかりの方が・・・」と言うと口をつぐむ。
莉乃は微笑みながら、目は笑っていないが。
「康介大丈夫よ。分かっているわ。体の相性って本当にたまらなくいいものなのよね。だから、あなたをゆかりさんの所に行かせてあげるわ。いい康介。私のたった一つの願いを聞いてくれさえしたらいいの。ねえ、いいでしょう」と言うと
康介は
「分かった。莉乃何をすればいいんだ」と聞く。
この時初めて莉乃は嬉しそうな瞳を見せていた。
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