永久の身体

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「康介。これであなたは私のもの。ゆかりさんの所には一生いけないわね。うふふふふ。今教えてあげるわ。コーヒーの中に私知り合いから譲り受けたジギタリスをたくさん入れたのよ。それはあなたへの私の愛よ。受け取ってくれてとても嬉しいわ。これでもうあなたを誰にも取られなくて済むのよね。私だけの康介になったのよ。康介あなたも嬉しいでしょう。その顔とても魅力的よ」と言うと苦しみに歪んだ康介の頬に莉乃はキスをする。 そして、「うふふふ、康介に言っても、もう聞こえていないわね。さあ、これからが楽しみなのよね。康介を永遠の身体にしなくちゃいけないからね。康介大丈夫よ。あなたに隠していたけれど、私はエンバーミングの資格を持っているの。あなたの血液を薬品と入れ替えるわね。そして腐らない身体を手に入れた康介と私は永遠に一緒に暮らしていくのよ」と言うと微笑んでいる。 莉乃は康介を腐らないからだにするためにエンバーミング腐敗処理をして人形として部屋に飾っておく事にした。 「昔は動物を良くエンバーミング実験したわね。あの時は私の趣味みたいなものだったのよね。その趣味をいかせてうれしいわ」と莉乃は小さくつぶやくとにやりと笑う。 莉乃はエンバーミングの有資格者だ。 若い時に取っておいてよかったと思う莉乃だった。 ベッドの中に寝かした康介と一緒にいつも眠るのだ。 ゆかりが一度訪ねて来たが「康介は、あなたの所に行くと言って出ていったのよ。あら、まだ来ていないの、おかしいわね。私はもう康介とは別れたから、ゆかりさんもうここには来ないでね」と冷たく言い放つ。 ゆかりも、もう何も言えなかった。 すごすごと帰っていくゆかりの後姿を見つめる莉乃は優越感に浸っていた。 「ゆかりさん、私の勝ちね」ふふふと笑っている。                          END
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