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「…先生…」
ミランダは荷物を放り出すと一直線に駆け寄った。
「これってあの試作の魔法薬の効果よね?」
師匠の行動にハンナは驚いていた。
「…先生、わたしがわかるのですか?」
「あら、気づいてなかったの? 自分の手を見てごらんなさい、ほら」
ミランダがやさしくつかんだ弟子の手は、半分近くの形が見えていた。
「…戻ってる! いったいどうして!?」
「この魔法薬は水に弱いみたいね。涙で濡れた部分だけ見えているから」
「…そんなに簡単に…?」
呆然と呟くのを聞いて、ミランダが身を乗り出す。
「何か試してみたのね? 始めから詳しく教えて」
ハンナは、魔法薬の瓶を倒してしまってからの経緯を詳しく話した。
「――なるほど。だけど、兄弟子の所へ行かなかったのはどうしてなの?」
「…先生が今朝、国からの依頼だから内容は言えない、とおっしゃっていたので……」
「兄弟子とはいえ、外に洩らしてはいけないと思ったのね?」
「…はい」
「それは正しい判断ではあるけれど、緊急事態だと考えたのだから、助けを求めても良かったのに」
「……………」
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