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「きっと失敗をおそれているのね。声が小さければごまかせるかもしれないし」
ハンナはうつむいてしまった。
「別に、失敗してもいいのよ。魔法なんて特に、失敗を重ねて上達するのだから。――さぁ、立って」
ミランダはハンナの両手をグイッと引っ張り上げた。
「午後から修行を見てあげる約束だから、たくさん練習して、失敗して、経験を積みましょう!」
「…はい」
「でもその前に、お風呂に入るといいわ。つむじ風で砂まみれになっているから、頭からお湯をかければ、汚れも魔法薬の効果もなくなるはずよ。“解除”を使うまでもないでしょ?」
「…はい!」
ハンナが風呂に入っている間、ミランダは調合メモを難しい顔で見直していた。
「まさか水に弱いとは。どうりでジュースに混ぜても効果がなかったはずだわ。それに、頭から振りかけるだけで良かったなんて! 何に反応したのかしら。体温? それとも――」
ミランダはある物に目を留めた。
「あぁ、なるほど。これに使った魔力ね」
彼女が手に取ったのはティーカップだった。
昼食後、ハンナは庭で魔法の修行に励んでいた。
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