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おいしそうな匂いで目が覚めた。
寝坊したのかと思い、窓を開けて時間を確かめたが、太陽の高さは昨日起床した時と同じ。
それでも急いで身支度をして台所へ行った。
「…ミランダ先生、おはようございます。珍しく今朝は早いですね」
「おはよう、ハンナ」
出来立ての料理を食卓に並べていた女性が振り向いた。
色白の肌、大きな瞳、形良い鼻にふっくらとした唇、と誰が見ても整った顔立ちの美人だ。
「…もしかして徹夜だったんですか?」
ハンナが食卓につきながら訊くと、ミランダはふふっと笑う。
「どうしてそう思うの?」
「…前にもありました。いつもわたしが朝食を作るのに先生が作ってくださったことが。あの時、徹夜でお仕事をしていたと」
「そうだったかしら?」
ミランダは覚えていないという風に首を傾げながら、コップに注いだ飲み物を運んできた。
「この野菜ジュース、知り合いからもらった珍しい野菜を入れてみたの。ちょっと苦味があるからハチミツも入れたわ。飲んでみて」
ハンナは目の前に置かれたジュースをひとくち飲んだ。
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