0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…苦味はちょっぴりありますけどおいしいです。その珍しい野菜というのは、どんなものですか?」
「瓜の仲間だと聞いたわ。名前は忘れたけれど」
二人は世間話などをしながら朝食を食べ始めた。
だがハンナは、ミランダにじっと見つめられていることに気づいた。
「…先生、わたしの顔に何かついてますか?」
「ハンナ。あなたがわたしに弟子入りして、そろそろ1年になるわね」
感慨深げに語り出すミランダ。
「初対面の12歳の女の子が突然、『魔法使いになりたいんです!』って弟子入り志願してきたから、ずいぶんと驚いたわ」
「………………」
「ねぇ、ハンナ。この1年でいくつ魔法を覚えた?」
「…4つです。“復元”、“火花”、“つむじ風”と“縮小”」
「“拡大”はまだなのね。大きくする魔法は苦手?」
「………………」
ハンナはうつむいて答えない。
「……しょうがない子ね」
ミランダはひとつため息をつくと、残っていたジュースを飲み干して立ち上がった。
「魔法薬の材料調達に行ってくるわ。お昼には戻るから」
最初のコメントを投稿しよう!