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「…新しい魔法薬の試作、うまくいかなかったんですか?」
「えぇ、今日は失敗。国の依頼だから内容は言えないけれど、別の材料を試してみようと思って」
そう言うとミランダは弟子の顔を覗き込んだ。
「午後からはあなたの修行を見てあげるわ。食器洗いと仕事部屋のお掃除、お願いね?」
「…はい!」
喜んで家事を引き受けたハンナだった。
食器洗いを終えたハンナは、師匠・ミランダの仕事部屋に入った。
床に散らばる大量の紙、机を埋め尽くす本や調合器具、棚にぎっしり詰め込まれた魔法薬の材料、などなど……。
とても美人魔法使いの部屋とは思えない乱雑さだ。
ハンナは持って来た掃除道具を一旦置き、まずは調合メモが書かれている紙を拾い集める。
それを引き出しにしまってから窓を開けた。
爽やかな風が通り、室内にこもっていた様々な材料の匂いが抜けていく。
「…さてと」
腕まくりをしたハンナは、さっそく仕事に取り掛かった。
まずは、使用済みの調合器具を集め、台所の流しに持って行って洗浄。
それを乾燥させる間に、部屋に戻って材料棚や本棚のホコリを払い、床を掃く。
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