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“解除”の魔法はあるが難易度が高く、ハンナでは到底無理だ。
「…何か考えなきゃ。――そうだ!」
掃除を始める前に引き出しにしまった調合メモを思い出した。
だが、取り出して見てみるも、記号やら数字だらけでさっぱりわからない。
「…これじゃダメだ」
う~ん、と唸りながら考え込む。
ハンナが使える魔法は4つのみ。
“復元”と“縮小”は意味がない。“火花”は危ないだけ。“つむじ風”は――。
「…いけるかも!」
ハンナは急いで庭へ出た。
窓から距離をとって、一つ深呼吸。
そして、前方へ向かって片手を振り上げながら魔法を放つ。
「…《つむじ風》!」
目の前に、彼女の身長ほどの小さな竜巻が現れた。
つむじ風は、雑草や砂を巻き上げながら、なかなかの速度で回転している。
「………………」
唇をぐっと噛み締め、両手で耳を覆い、まぶたをぎゅっと閉じたハンナは、自分が出したつむじ風の中に飛び込んだ!
風と砂がバチバチと肌に当たり、痛みに耐えながら、体が浮かないように踏ん張る。
「ん~~~~!」
頭からかぶってしまった魔法薬を、風で吹き飛ばしてしまおうと考えたのだが……。
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