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ミドリが食事をさせるところをまじまじと見たことはなかった。
でもこうしてミドリ側からこの星の食事を見ると、それは、美しいだけだった。
「諦めたらどう?私は、死なないわ」
ミドリは星を少しずつハンドルですくって、この星に食べさせた。
ミドリは笑顔だ。いつでも笑顔だ。
「命があるものはいつか死ぬものだろう」
嗚呼、これは本当に食事と呼ぶのに相応しい。
星の欠片が吸い込まれていく。
「ええ。この星も、いつかは死ぬわ」
こんなにも美しい行為で、ミドリはこの星の生命と引き換えにして、多くの生き物の命を奪っていったんだ。
この星の美しさに敵う生き物はいない。
負けた、と思った。
「君は一体、何者なんだ」
本当は、わかっていたんだ。
ミドリを殺したって何の意味がないことを。
「人間ではないわ。――その点では、あなたと同じよ」
姉がいなくなってから、今まで保っていた形がどんどん失われている。
姉はもういない。ミドリは代わりにならない。
どうすれば、もっと人間に近い姿になれる?
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