1回目:SF【ミドリと姉と僕】

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 ミドリが食事をさせるところをまじまじと見たことはなかった。  でもこうしてミドリ側からこの星の食事を見ると、それは、美しいだけだった。  「諦めたらどう?私は、死なないわ」  ミドリは星を少しずつハンドルですくって、この星に食べさせた。  ミドリは笑顔だ。いつでも笑顔だ。  「命があるものはいつか死ぬものだろう」  嗚呼、これは本当に食事と呼ぶのに相応しい。  星の欠片が吸い込まれていく。  「ええ。この星も、いつかは死ぬわ」  こんなにも美しい行為で、ミドリはこの星の生命と引き換えにして、多くの生き物の命を奪っていったんだ。  この星の美しさに敵う生き物はいない。  負けた、と思った。  「君は一体、何者なんだ」  本当は、わかっていたんだ。  ミドリを殺したって何の意味がないことを。  「人間ではないわ。――その点では、あなたと同じよ」  姉がいなくなってから、今まで保っていた形がどんどん失われている。  姉はもういない。ミドリは代わりにならない。  どうすれば、もっと人間に近い姿になれる?
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