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生徒会メンバーじゃない誰かがこの部屋に入ってきたのか、と視線を下げると、デスクには白い箱が置かれていた。
なんだこれはと手に取って開けてみると、丸いクッキーが入っていた。
「そうそう。会長のクラスの委員長、今更新歓に必要だった書類出してきたんだけどー」
ほらー!と言って渡された書類を西宮から受け取り、一応目を通したが、こんなもん新歓が終わった今出しても遅いだろうがと呆れた。
「委員長にあったら俺から一言言っておく。次からは守らせるようにするから」
「んー、よろしく」
ということはここに来たのは委員長か。
だけどあの委員長が俺にブレザーを掛けたり、クッキーなんかくれるはずがない。
なら多分、俺の親衛隊の誰かだろう。
最近仕事が忙しくて食事をしてないせいか、親衛隊から物を贈られることが多くなった。
快眠グッズから手作り弁当まで、気持ちは嬉しいが、どれもその場で返した。
けれどまさか生徒会室にまで来て、俺が寝ている間に置いていく奴がいるとはな。
これじゃあ誰が持ってきたのかわからないし、返すこともできない。
「西宮、これいるか?」
「何それぇ?」
「クッキー。多分俺の親衛隊の奴が作ってきた」
自分で食べる気になれず、だからと言って捨てるのもどうかと思い、西宮に聞くと、直ぐさま「いるー!ちょうど小腹が減ってたんだよね」とデスクから立ち上がり、箱を受け取った。
「これ美味しいよぉー。食べなくていいの?」
「俺はいい」
そっかーと言い、再び報告書を書き始めた西宮に「今日はもう俺は帰るな」と告げた。
「お疲れ様ー。みんな会長のこと心配してたから、部屋でゆっくり休むんだよー」
「ああ、ありがとうな」
そのまま振り向かず、西宮に手のひらだけ振って、俺は生徒会室から出て行った。
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