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身体がダルい、気持ちが重い、やる気が出ない。
生徒会の仕事が忙しかった時とは違い、今は食事も睡眠もしっかり取れている。
それなのに今までに無いほどの絶不調だ。
新歓が終わればやっと教室へ行けて、毎日のように直江と会える。と楽しみにしていたが、新歓が終わった今も、未だ教室に行けていない。
西宮に渡してしまったあのクッキーは、もしかしたら直江が俺のために作ってくれたのかもしれない。
そう思うと後悔と罪悪感から、足が教室まで進んでくれなかった。
もしも本当に直江が俺のためにくれたのなら、クッキーを食べていない俺は、直江になんて感想を言えばいいのかわからない。
嘘でも「美味しかった」と言えばいいんだろうが、どんな理由にしろ、俺は直江に嘘はつきたくなかった。
時間を確認し、一旦作業の手を止め、学校へと向かった。
校舎からは授業を終えた生徒がゾロゾロと出てくるが、その中に直江の姿はない。
校舎がよく見える位置に移動し、ベンチに腰を下ろして、ボーッと直江が来るのを待った。
直江に合わせる顔はないが、直江には会いたい。
落ち込んでいるからこそ直江に会いたい気持ちは強まり、新歓の準備で会えなかった時以上に、今は直江不足で苦しい。
無意識についたため息はさらに俺を暗くさせた。
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