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ーーーー 「かああいいいちょおおお」 最初は静かな廊下だったが、徐々に廊下を走る音が大きくなり、勢いよく生徒会室の扉が開かれた。 驚いて生徒会室にいた全員で扉をみると、そこには今日は来ていなかった西宮が立っており、俺の役職名を叫ぶと、肩で息をしながらズカズカと俺へと近付いてきた。 副会長や雑用で手伝いに来ている生徒も突然の西宮の登場にポカンと口を開き、これからの展開を見守っている。 「会長がこの前くれたクッキー!あれ、直江くんからのなんだよねぇ?そんで俺が全部食べちゃったから会長落ち込んでるんでしょー?!」 「……」 ここ数日落ち込む俺を、誰よりも心配して声を掛けてくれていたのは西宮だった。 だからそんな西宮に落ち込んでいる理由はバレたくないと思っていたが、バレてしまったらしい。 西宮にたくさん心配をかけ、その上責任まで感じさせてしまったらと焦り、何も言葉が出なかった。 今回のことは、人からもらった善意を蔑ろにしていた俺のせいだ。 直江からにしろ、親衛隊からにしろ、せっかく俺へと贈られた物を他の奴にあげるなんて、贈った奴の善意を踏みにじっていた。
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