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「すまん……俺が」 「だからぁ!直江くんにまた作ってもらったよ!」 「……え?」 西宮の言葉に、思わず驚きの声をあげてしまった。 『また作ってもらった』?誰に?直江に? 意味がわからず戸惑っている俺に、ニコニコと笑いながら西宮に白い箱を渡された。 何処か見たことのあるその箱を受け取り、ゆっくり箱を開けると、中には丸いクッキーがたくさん入っていた。 「直江くんね、会長のことすごく心配してて、俺なら何か会長について知ってるんじゃないかって聞かれてたんだー」 「直江が心配してた……?俺を?」 会長ってば直江くんが近付くたびに逃げてたんだってぇ?とからかう西宮の声が遠くに感じる。 好きだ。好きだ。本当に好きだ。 どうしようもないぐらいに……、これ以上ないぐらいに……直江が好きだ。 「会長?喜ぶのはまだ早いよー。はい、どうぞ」 再び西宮から渡された物は畳まれた小さな紙で、開けると『教室で待ってます。 直江』とだけ書かれていた。 「よかったねぇ、会長。クッキーのお礼言わなきゃいけないしー、何よりも教室で直江くんが待っててくれてるよー!」 驚いて何も言えないでいる俺に、至極嬉しそうに西宮は語りかけてきた。 直江からのクッキーも嬉しいが、自分のことのように喜ぶ西宮の姿もすごく嬉しい。 なんでこんなに西宮が喜んでくれるんだろうと考えた時、『友達だからか……』という答えに行き着いた。 最初からずっと緩く、だけど真面目で、いつも先頭に立つ俺を西宮は陰ながら支えてくれていた。 その中でたくさん俺は完璧じゃない部分を見せてきたが、それでも変わらず俺を慕い、西宮は着いて来てくれた。 友達だとは思っていたが、それ以上に仲間意識が強く、全く気付けていなかったが、ここにも俺を特別扱いをしない奴が居たのかと、やっと俺は気付いた。 心配してくれて、 特別扱いしてくれてなくて、 元気付けてくれて、 色んな意味の『ありがとう』を込めて、西宮の髪の毛を思いっきり撫でた。
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