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うららかな陽気に誘われて、今日のお昼は中庭にした。
思っていた通り中庭の桜は咲き乱れ、広げたお弁当箱には桜の花弁が飾られていく。
「直江(なおえ)さぁ、お前ホント何したわけ?」
横目で何かを見つめる花守(はなもり)の目には、面白いという思いが溢れていた。
「んー? 何にも」
そう。俺は何もしていない。
しかし花守の視線の先にいるであろう会長に、俺はきっと何かしてしまったのかもしれない。
チラリと横目で見た会長は、3本離れた桜の木から身体を半分だけ覗かせ、こちらを見ていた。
今日も会長は一段と輝いており、そばを通る生徒達を釘付けにさせている。
3年になって初めて会長と同じクラスになったが、大した会話はしていない。
それなのに何故か俺は、始業式の翌日から会長にストーカーされるようになった。
会長は上手く隠れているつもりなのだろうが、会長は嫌でも目立つ。
そのせいで騒がれるたびに『ああ……会長か』と俺は会長の存在に気付いてはいるが、あえて気付かないふりをした。
最初は何回か『俺に何か用?』と声を掛けてみたが、そのたびに目を大きく見開かせ、足早にその場を立ち去られてしまった。
それからは会長の存在に気付いても『俺は会長の存在に全く気付いてないですよー』という振りをして、会長のストーカー行為を黙認している。
何故会長は俺みたいな一般庶民にストーカーを?とは思うが。
今はそんな事よりも、何故会長が此処にいるのかの方が、俺には気になって仕方がない。
これからの時期、新入生歓迎会、中間テスト、体育祭、期末テストと、色んな行事が目白押しだ。
行事は全て生徒会が中心となって運営するため、生徒会メンバーは毎日生徒会室に缶詰になって、通常業務と行事の企画を同時に進めている。
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