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「このあと部活あるから先行ってるわ」
「おう。行ってらっしゃい」
バドミントン部に所属している花守は、早々に部活仲間を発見し、一緒に会場から出て行った。
新1年生から3年まで、全学年が揃う会場は静まることはなく、始終ざわざわと騒ぐ声が聞こえてくる。
最初、新入生歓迎会が立食パーティー形式だなんて聞いた時は、目を丸くして驚いた。
けれど3回目にもなれば、『今回はどんな美味しい物が食べられるのかな』と滅多に食べられない美味しいものに、俺は胸を踊らせた。
ふと会長は何処にいるんだろうと気になり会場を見渡すと、直ぐに見付けた。
さすがに今日はストーカーしてこないらしい。
生徒サービスや先生サービスなのか、少し離れた場所で楽しそうに会長は談笑しているが、その姿に俺はホッとするどころか、眉間にシワを寄せた。
舞台上では各部活が持ち時間5分の中で、あの手この手で部員を獲得しようと奮起している。
会場も普段は飾られていないシャンデリアがあり、床には赤い絨毯がひかれている。
どこもかしこも豪華な装飾品が使われているが、豪華なのは装飾品だけじゃなく、1流の食事や著名人もそうだ。
部活紹介の企画、そして予算、今日1日のためだけに、たくさんの手間がかかっている。
他の生徒会役員達を見てみると何処か疲れた様子をしているが、会長には全く疲れが見えない。
むしろあんなに酷かった隈が今は一切見あたらない。
2日前に見た時はとても酷い状態で、ほんの数日でそれが無くなるわけがない。きっとあれは化粧で隠しているに違いない。
会長ってば無理しすぎだよ……
ふと頭に数日前に花守が言っていた『生徒会の会計から聞いた話だけど、会長全然寝てないし食ってもないんだってさ』という言葉を思い出した。
吐いたため息は俺の決意に変わった。
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