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「真夏。あの日は、ごめんね。あなたの前で教授とキスなんて…。ただ、あなたの病気を治す為には、そうするしか無かったの。」
智子が、泣きながらその場に崩れ落ちた。
「そ、そうだったの…?私の病気…?」
高橋教授が申し訳なさそうに頭を下げた。
「君は、また教室に来てしまったんだね。もう、だいぶ良くなり始めたと思ったんだが、まだ、リハビリが必要みたいだ。」
教授は、残念そうに呟いた。
真夏の視線が、教授に向いている。
僕は、その隙に真夏の包丁を奪い、机にそっと置いた。
そして、彼女の目を見ながら、ゆっくり呟いた。
「そうだ。真夏。君は少しづつ以前の状態に戻りつつあるんだ。さあ、しっかり僕を見て。」
僕は、彼女の肩に両手を置いてじっと彼女を見つめた。
「今なら、もう次へと一歩進んでいけるよね。」
僕がそう彼女に告げた瞬間。
グサッ。
彼女は、机に置いていた包丁を僕の心臓に突き刺さした。
「ま、真夏…!い、一体何故…?」
「私は、地縛霊なの。健ちゃんと一緒になるには、あなたに死んでもらわないといけないの。」
彼女の目から、涙が溢れ落ちた。
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