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高橋教授は、大学の教授にしては珍しく30代半ばで若かった。
身長は、180cm以上はあり、少し伸ばした髭は、ワイルドな雰囲気を醸し出していた。
当然、女子生徒の人気は高く、毎回講義が終わると、教授の周りには沢山の女子が我先にと群がっていた。
そんな光景を目の前に、彼女の視線が高橋教授に向く瞬間を、僕は見逃していなかった。
彼女は、口には決して出さないが、無意識に教授を追っていた。
そして、密かに抱いていた疑念が、とうとう確信に変わる出来事があった。
それは、余りに彼女にとって過酷な出来事だった。
いつも通り、木曜4限の授業が始まる30分前に教室に着くと、彼女は1人泣いていた。
高橋教授が、同じ授業を受けている女子生徒とキスをしているのを目撃してしまったらしい。
僕はその時、彼女の教授に対する恋心と、それが儚く散っていってしまった事を知った。
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