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もし、あの日、ユキと俺の最後になるとわかっていたなら
俺は、どうしていただろう?
どうしようもないことを、後悔しては考える。
最後だから、キスをしただろうか?
「愛してる」と、壊れた機械のように繰り返し囁いただろうか?
・・・いや。
きっと、それが最後にならないように抗ったに違いない。
俺は、きっと、ユキを部屋から出しはしなかった。
”何か”がユキを連れて行ってしまわないように、
俺は、ユキを抱きしめて離さなかっただろう。
『明日』というものは、必ずやって来る。
でも、それは俺の勘違いで、
ユキがいる日常が、明日やって来ないなんてどうして想像できた?
それくらい、ユキは俺の傍にいるのが当たり前になっていたんだ。
ユキを失って、はじめて知った。
『明日』は、当たり前に与えられるものではないのだということを。
ユキの『明日』は、永遠に来ない。
ユキがいない『明日』は、永遠に続いていく。
何日経っても、何ヶ月経っても、何年経っても
ユキがいないつらさは薄れてなどくれない。
ほかの誰かを好きになるなんて、
俺にはまだ無理だ。
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