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ユキを永遠に失ったあの日から
色を失くした俺の世界。
だけどそれは、
ユキの、色。
真っ白な、雪の色。
(あぁ、ひとりじゃ、ないんだ。)
きっとユキは、前よりもっと、俺の近くにいる。
俺の、心の中という、隣より、もっと近い場所。
俺とユキが暮らした部屋。
手をつないで歩いた道。
行きつけの、お気に入りのカフェ。
いつか、俺とユキのこどもを連れて遊びに来れたらと夢見た公園。
君との思い出しかないこの街で、
俺は、生きていこう。
君との幸せな記憶を、
忘れないように、何度も、何度も何度も巻き戻して、
抱きしめて。
まぶたの奥で、
あたたかな雪が、とけはじめた。
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