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ユキは、いつだって俺の話を嬉しそうに聞いてくれて、
自分のことも、たくさん話してくれた。
美味しい料理を作ってくれたし、
きれい好きで、部屋はいつも居心地良いように片付いていた。
やわらかな、長い髪。
ふんわりと香る、優しい女の子の匂い。
マシュマロのようなカラダ。
見た目に反した、ちょっぴりハスキーな声。
こっちまでつられて笑いたくなる笑顔も、
拗ねた顔も、
寝坊して慌てた顔も、
ヨダレ垂らして熟睡してる無防備な寝顔も、
泣くのを我慢した顔も、
泣き顔も、
俺にだけ見せる、女の表情も
全部、すべて、愛おしかった。
仔犬のような、黒目がちなタレ目がどうしようもなく可愛くて、
ずっとずっと、抱きしめていたかった。
隣で、笑っていて欲しかった。
それ以上の幸せなんて、
俺は望んでいなかったのに。
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