0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
【3】
『ユキが、ユキが帰って来ないの!』
どうしても仕事が休めなくて、
1人先に実家から戻って来ていた俺を、
真っ青にした一本の電話。
逼迫した、ユキの母親の声。
その電話の後のことを、俺は、あまりよく覚えていない。
急いでバッグに服と財布を詰めて、
空港から、ユキの故郷に向かう便に飛び乗った・・・ようだった。
悪い想像ばかりが、
俺の頭の中を支配していた。
ただ、祈っていた。
神様。
あのこを・・・
ユキを、俺から取り上げないでください。
俺の宝物なんです。
お願いです。
ユキ。
どうか、どうか無事でいてくれ。
呪文のように、繰り返し、そう願っていた。
最初のコメントを投稿しよう!