【3】

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【3】

『ユキが、ユキが帰って来ないの!』 どうしても仕事が休めなくて、 1人先に実家から戻って来ていた俺を、 真っ青にした一本の電話。 逼迫した、ユキの母親の声。 その電話の後のことを、俺は、あまりよく覚えていない。 急いでバッグに服と財布を詰めて、 空港から、ユキの故郷に向かう便に飛び乗った・・・ようだった。 悪い想像ばかりが、 俺の頭の中を支配していた。  ただ、祈っていた。  神様。  あのこを・・・  ユキを、俺から取り上げないでください。  俺の宝物なんです。  お願いです。  ユキ。  どうか、どうか無事でいてくれ。  呪文のように、繰り返し、そう願っていた。
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