第二回【Mの視】

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約束通り水族館に向かう。 空いたバスに、並んで座った。 彼女はスマホをいじり始めたので、景色を見るふりをする。 上司が水族館デートってどうなの、と話題を振ったのが発端だった。 「高校生の時に行ったことありますよ」 「マジで?お前そういうキャラだっけ。で、彼女と喋った?」 「いや、喋んなかったっすね」 「だろ?口説く奴連れていくのには地味だよな」 あの人、若い頃はもっと派手に遊んでいただろうからデートはイベントじゃないと駄目だって思っているんだろうな。 「タナカさん、どうしましょう」 彼女の声に、視線を戻す。 ケースも指先もキラキラしている。 「一時からイルカのショーで、ウミガメの餌が一時半です。どちらかは見たいんです。 ペンギンは今日はないみたい」 「ミユちゃんの好きなふうに回ろう。僕はどちらでも良いよ」 言ってから、やけにおじさんぽく聞こえたんじゃないかとへこんだ。
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