第三回【Cの溶】

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扇風機が空虚を逆撫でする 21歳とはいえ、どこか少女っぽさを残した子だなと思った 彼女は飯田ますみと名乗り、アイスコーヒーを両手で持ってちびちびと飲んでいる 「ミルクとシロップを追加してもらうかい?」 途端に顔をパッと上げて頷く。 目だけがギョロリと光る痩せた婆さんに頼む。意外なほど素早い動きと渋々といった表情で持ってきた。 飯田ますみは二つずつ足す。 慣れていないんだな。 コーヒーにも。 知らない大人と対面で座るのも。 質問されるのも。 警察手帳を見るのも。 働いてた家にブルーシートがかけられるのも。 事件について何も知らないのだろう。 有益な情報は得られなさそうだ。 質問を、変えようと思った。
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