第四回【Rの根】

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王宮に知らせが届いたのは、朝露も乾かぬ頃である。 大陸の中央に位置する大国エストカ。 王宮の回廊を緊急召集に応じた臣下達が駆ける。 まだ表向きの仕事をする者が出仕していないので、内働きの侍従が気を利かせて動く。 これからの会議は、長いのだから…… 「本当なのか、竜伯が降りたったというのは……!!」 王座のひじ掛けを握る手も震えている。 大臣や王は青ざめているが、若い者はピンとこないようだ。 「あの、竜伯というのは……実在するのですか。その、男女の見境なくアレというのは本当に?」 「それは誇張されている。竜族は神として崇められて、嫁探しの一時期を除いては温厚だ」 竜伯というのは東方の竜族の長である。各国の協定で、竜伯の気に入った娘を差し出すことになっている。 でないと、国土が焦土に変わるからだ。 竜族の寿命は長く 五十年に一度ほどの確率なのだが……娘を持つ親にとっては酷である。 「とにかく令嬢は屋敷から出さぬように。……そろそろ王太子妃の候補を絞ろうと思っていたのに時期の悪い……まあ、たまたま休息に降りられただけで、我が国で乙女を拐うと限ったわけでは……しばらくしてお帰りくださるやも……」 そのとき、西の城壁のあたりに衝撃が 「申し上げます!!黒い竜が城壁をは、破壊っ」 「なんで城にいきなり!?ウチ王女もいないのに」 「うちの王子、見目だけは良いからまさか間違えられて拐われたりして」
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