7(承前)

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「ぼくがやっているのは、起こりうる未来をきちんと見ることだ。勝つか負けるか。そのどちらも正確に予測する。そのうち望ましい未来を実現するため、祈りながら必死に見続けるんだ。それが勝利の可能性を上げることになる。なぜ、そうなるのか、ぼくには詳しいメカニズムはわからない。人の真剣な祈りと未来予知力が重なるとき、戦争の勝敗や人類の歴史といった巨大な運命さえ左右することができるのかもしれない」  じっとジャクヤがタツオの目を見つめてきた。心の奥底まで届きそうな不思議にまっすぐな銀の視線だった。ジャクヤは早口でいった。 「逆島くんの『観の止水(しすい)』も同じように見ることの極限を超えた能力だと、科学者たちから聞いている。いつか、ふたりだけで話をさせてくれ」  ぱんっとワタルが手を叩き、陽気に叫んだ。 「うちの『魔眼』と逆島家の『観の止水』が手を組めば無敵や。エウロペだろうが、氾(はん)だろうが、アメリアだろうが相手やない。どうやタツオくん、うちと手をとりあって『須佐乃男』で世界を獲(と)らへんか」
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