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彼犬と僕の1ページin佐藤さん
俺と彼女と佐藤さんは、森の中を彷徨い歩く。
「せ…先輩?」
「な…なに?」
「より山奥に入った様な……」
「き…気のせいじゃないかな?」
「藤次……
お前も同じ気持ちか……」
そろそろ佐藤のそれにも飽きが来た。
事実それどころではないと言うのもあるが…。
「どうしょう!どーしょう!!
先輩!」
と、俺にしがみつく彼女のせいで、脳内演算機能がフル稼動してしまって、どうにも考えが纏まらない。
「あー。佐藤さん。
もう少し離れてくれないか?」
「………中山。
俺を見捨てるのはやめろ。」
「動きづらいんだが……」
彼女に意識を集中せざる得ない理由は、もう片腕にしがみついて離れない佐藤の存在を認めたくなかったのもある。
緊張と恐怖からか、ガタガタと震える振動が俺に伝わってくる。
なのにだ。
顔は真顔なのだから、ある意味恐怖だ。
〝咲夜……。
怖い思いをさせてごめん。
今、俺の右腕には、ある意味で怖いものがついているよ。〟
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