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宿泊先のロッジから、さほど離れていない所にログハウスがあり、その先に獣道の様な山道がある。
俺と彼女は、その道を歩き、自然から新鮮な空気と英気を養う。
旅行先の開放感からか、また、昨日の事があったせいか、彼女はいつもより、明るく俺といる時間を満喫している様であった。
「先輩!みてください!
クワガタですよ!しかも、こんなに大きいの!」
と、彼女がクワガタを手に見せてきた。
ゴキブリや、ネズミなどは苦手な彼女だが、どうやら、クワガタは大丈夫らしい。
〝無邪気だな……。〟
と思いながら、クワガタを見つめ、驚きを隠せなくなった。
「おう!って!!
それ、ミヤマクワガタじゃねーか!」
「ミヤマクワガタ?」
「希少価値の高いクワガタだよ。
しかも!7センチはある!!
数も減ってるから、
たしか、ペアで7500円はしたよ!
」
「そうなんですか?
それじゃあ……。
さぁ、おかえりっ。」
と、彼女は、ゆっくりとクワガタを木に戻し、飛び去っていくクワガタを笑顔で見送った。
「ちょー!!?
おまっ!高く売れたよ!きっと。」
「いいんですよ。
もし、あのクワガタが先輩で、待っている私(メス)がいたとしたら、絶対、待ち続けますもの。」
「咲夜……。」
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