彼犬と僕の1ページ

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そんな彼女の姿を見つめ、俺の心はぎゅっと締め付けられ、甘酸っぱくなる。 〝やはり。将来は咲夜と結婚するのかなぁ。〟 など、浮かれ気分で妄想し、口元がだらしない俺。 そんな俺に気づく事無く、彼女が俺の腕を引っ張る。 「先輩!先輩っ!」 「う!うん!?どうした?」 「ここ、どこでしょう。」 「ここどこでしょうって、あはは…… はぁーっ!?」 彼女に見とれていた俺は、我に帰り、辺りを見回す。 見渡す限りの森林に方向感覚を失い、まるで、迷宮にでも迷い込んだ感覚に陥る。 「先輩………。」 と、不安そうな彼女に、俺は恐怖を飲み込む為、拳をぎゅっと握る。 「だ……大丈夫だよ。 俺から離れちゃ駄目だよ?」 「うん。」 彼女の手をギュッと握り、全神経を耳に集中するつもりで、辺りの音に聴き入った。 「んー。あっちの方から川の音がする。 行ってみよう。」 「はい!」 俺と彼女は、川の音がする方へ向かっていった。 「川だ。これを遡れば、多分ロッジに着くよ。」 「はい!」 〝ん?おかしいな。 俺ですら、恐怖なのに、咲夜は怖がっている様子は無い。〟 どちらかと言えば、この状況を楽しんでいる様に見える。 「先輩! 川の流れが綺麗ですよ!」 「? 咲夜。怖く無いの? 俺ら遭難してるんだよね?」 「えっ? 怖いですよっ! あー。怖いっ。 先輩っ!ギュッてして下さい。」 怖がり方が明らかに怪しい。 だが、話が進まないと思った俺は、とりあえず、ギュッと抱きしめる。
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