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医師は除細動器を手に取り、電気ショックを与えた。
――あれで心臓が動き出すんだろうか。アイロンみたいなものを胸に押し付けているけど、本当に大丈夫なのかな。功、私をおいていかないで……お願い。
「もう一度」
医師の声が遠くで聞こえるようだ。
功の身体が電気ショックに反応する。
――お願いだから、目を覚まして。
亜美は両手を硬く握りしめて祈った。
「先生、心拍数が六十に戻りました」
心電図モニターに波形が映っている。
――よかった。
安堵した亜美は、大きく息を吐き功のもとへと駆け寄った。
「あ、功。わかる、私よ、亜美よ」
功が目を薄らと開けていた。
医師に声をかけられて場所を開け、後ろで待機する。どうなんだろう。意識が戻ったと言ってほしい。
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