囚われた魂

15/17
前へ
/17ページ
次へ
***  医師は除細動器を手に取り、電気ショックを与えた。  ――あれで心臓が動き出すんだろうか。アイロンみたいなものを胸に押し付けているけど、本当に大丈夫なのかな。功、私をおいていかないで……お願い。 「もう一度」  医師の声が遠くで聞こえるようだ。  功の身体が電気ショックに反応する。  ――お願いだから、目を覚まして。  亜美は両手を硬く握りしめて祈った。 「先生、心拍数が六十に戻りました」  心電図モニターに波形が映っている。  ――よかった。  安堵した亜美は、大きく息を吐き功のもとへと駆け寄った。 「あ、功。わかる、私よ、亜美よ」  功が目を薄らと開けていた。  医師に声をかけられて場所を開け、後ろで待機する。どうなんだろう。意識が戻ったと言ってほしい。 ***
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加