囚われた魂

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***  突然、空に暗雲が立ち込めた。引き摺られながら空を仰ぎ見ると、雲の中で光るものが見え隠れしている。もしや雷か。  ピカッ、ズドドーーーーーーーーーーン。  凄まじい轟音とともに、稲光が橋へと落下した。橋は真っ二つに折れて崩れ落ちている。落雷のあったあたりは炎が燃え盛っていた。熱風がこっちへも伝わってくる。 「性懲りもなく邪魔立てするか。クソ女がぁ」  沙里の雄叫びが耳に響く。  雷はまだ鳴り響いている中、怒り狂う沙里が天を睨み付けていた。冷静さを失ったのだろう、しっかりと掴んでいた腕と袖口を放していた。今のうちに逃げよう。功は音を立てないようにつま先立ちになって後退り始めた。  気づかないでくれと懇願しつつ沙里から離れていく。  十分な距離がとれたと判断し、功は踵を返して駆け出した。 「待てぇ、功」  背後から沙里の叫び声と落雷する轟音が重なり合った。 「ぎゃぁーーーーーーーーーー」  絶叫とともに、沙里は炎を纏い完全に絶命した。魂もろとも焼き尽くされてしまった。  燃えカスが風に揺らめき空へと舞いがっていくのを眺めた。助かったんだとホッと息をつき、その場に座り込んだとき、右腕をギュッと掴まれたような感覚に目を見開いた。ハッとして腕を見遣ったが、誰の手もありはしなかった。きっと気のせいだろう。  とんでもない女に好かれてしまったものだ。ここにから早く離れよう。亜美のもとへ早く帰ろう。その思いが通じたのか、遠くに仄かに明かりが灯った。もしや、あそこが出口かもしれない。  功は、三途の川のあるほうと反対方向に見える小さな明かりへと歩みを進めた。 ***
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