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足がもつれてそのまま前へと倒れてしまった。砂に顔を埋(うず)めてしまい、少しだけ砂を食べてしまう。すぐに口の中の苦い砂を吐き出して後ろを振り返ると、すぐそばに一メートルほどもある蜂が尻についた針をこっちへと向けて迫って来ていた。
来る、来る、来る。やめろ、やめてくれ。
――俺が何をしたっていうんだ。
這いつくばるようにして砂浜を逃げ惑う。どう考えたって逃げられるわけがない。
耳障りな羽音が耳元で鳴っている。うわっ、針が来る。もう避けられない。
うぅっ……。
蜂の針が腕を貫いて、顔を顰(しか)めた。
痛みが脳天まで突き上がり、身体全体が痺れだす。これは毒だ。きっとそうだ。
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