囚われた魂

9/17
前へ
/17ページ
次へ
***  功は先の見えない長い階段を眺めつつ登っていく。灯台は見えているというのに、階段の終わりが窺えない。こんなおかしなことがあるのだろうか。  ふと右手にぬくもりを感じて、立ち止まり右手をみつめた。小首を傾げてしばらく立ち止まっていた。今感じたものはなんだったんだろうか。とにかく、登ろうと再び足を進めようとしたとき視線の先にさっきまでなかった階段の終わりが出現していた。  うれしくて息が弾み、功は思わず駆け出していた。頬を緩ませて登る。ときどき二段飛ばしで登っていった。きっとこの先に出口があるはずだと期待して登る。  だがしかし、予想は覆されてしまった。  登り終わり、功は笑みを消した。待っていたのは、荒れ果てた大地だった。灯台はどこへ消えてしまったのだろうか。出口はどこだ。振り返ってみても、階段はなくあたり一面何もない荒涼とした大地がどこまでも続いているだけだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加