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「今日も相変わらず、魂を震わせるような音色を響かせるのね」
彼女は毎日の様に森に訪れた
そして、その彼女を嬉しそうに待つ鏡子の姿も毎日同じものだった
太陽の動きでしか時間を知る術がない菜々姫には、森で過ごしている間は時間が止まっているかのように感じていた
実際、止められていたのかもしれないが…そんなこと、彼女にとってはどうでもいいことだった
暇があれば彼女の元へ行き、ハープの音色を暫し聴いてから家へ帰る
そんな日常が、これからも続けばいいと…いや、続くと思っていた
しかし、現実というものはあまりに残酷で…
化かされた世界のように、甘く、幻想的なものではなかったのだった
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