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「は?」
私の耳はおかしくなってしまったのだろうか。
和也が口元に笑みを浮かべた。
「新居は渋谷区で探そう。あそこなら同性婚の証明書を発行してくれる」
『そう言うと思って、幾つか物件をピックアップしてみた。メールで送るから見といて。じゃあ、また』
電話が切れると同時に、お風呂場から母とレンが戻ってくる。
「電話、終わった?」
ニヤニヤ顔の母が尋ねると、「はい」と意味深な目配せを夫が返す。その周りをニコニコのレンが走り回る。
「レンが欲しいのは~、ママがダメって言って買ってくれなかったミキサー車と、ショベルカーとトラックと~」
『家族皆が幸せなら娘も安心して成仏できる。めでたしめでたし』
父の言葉が蘇る。
確かに皆、幸せそうだ。
いいことなのかもしれないけど。
みんなの幸せを願っていたけど。
「こんなハッピーエンド、認めない!」
私は叫んだ。
結局、皆私をあっさり忘れて自分勝手に生きてるだけじゃん!
ぜんっぜん、めでたくない!!!
(見てろよ~)
絶対生き延びてやる!!!!!
私は、強く強く決心した。
その途端、まばゆい光が私を包み込んだ。
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