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余談だけれど、雪が融けて、なぜここにこんなものがというものが顔を出すのは、たぶん雪国あるある。
それは例えば、手袋とか靴下とか靴とか。そういうものなら私も何度か見つけたことがあり、ただ拾ったことはゼロ。拾ったのは今回のメガネが初めてだった。
ゆえに私にとって記念すべき救出物第1号となったメガネは私の手を経て交番へ。更に今日、持ち主である飯塚さんのもとへとようやく戻れて、それなのに、ああ! ……とと、マズいマズい。つい感情の方に突っ走るところだった。
さてさてでは、おさらいその2。ただしこちらのおさらいは、私だけじゃなく、飯塚さんから聞いた話も交えてのおさらい。
およそひと月前、暖冬だ、雪が降らないと、日本中が思っていた頃、それをあざ笑うかのように寒さと大雪が不意打ちをかけてきた日があった。
私の記憶では、1日中空が暗く、ちょっと信号待ちしていただけで肩の上に1センチも雪が積もり、車道でなかなか動かない車の列を横目で見ていたら、自分の足元が疎かになってすってんころりん、……いやそれはともかく、夕方になったら風が強くなった。これ重要。
雪が止んでいないのに、加えて強風。不要不急の外出は控えましょうと、夕方のニュースでは何度も言っていた。
そんな激悪な環境の中、飯塚さんはこの店の前の道を歩いていた。ただし1人で、ではない。一緒に歩く人がいた。
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