*:。 鳥よ…・゚:*:・'°☆

4/4
前へ
/22ページ
次へ
兵達は私を、城の最上階にある見晴らしのいい大広間に入れた。 裸に近い格好の少年達に囲まれ、体に何かを塗らせている脂ぎった男がいる。 「さあ、銀の鳥よ…歌い、舞え。一生我の為だけに尽くすのだ」 男は少年の一人が持つ盆より盃を取り、下卑た目で私を上から下へと眺め喉を鳴らし酒を飲む。 私は黙って片膝をつき頭を下げた。 「何をしている。さっさと始めぬかっ!」 王と言うには品のないこの男はかなり短気らしく、持っていた盃を私に投げつけた。 「宿り木のない私には舞えませぬ」 「ならば歌え!」 王は怒りに顔を真っ赤にし、慌てた家臣が強引に歌わせようと鞭打った。 「宿り木のない私には歌えませぬ」 「貴様、我に逆らうか!」 沢山の剣先が一斉に私に向けられる。 「私は鳥……宿り木さえあれば生きられたのに…」 短気な王の手が大きく振られ、怯えたように少年達は顔を背けた。 私は上へ飛び上がり、金属がぶつかり合う音が響いた。 そのまま兵達のいない場所へ着地し、駆け出す。 「おのれぇ!逃がすな!」 王が叫んだその時、私は外へと高く羽ばたいた…… ◇ 次の日――― 深い傷を負い意識のない男が寝かされた部屋の前の木に、小さな銀の鳥がとまった…… 男はうっすら笑みを浮かべ涙を流すと、銀の鳥のもとに青い鳥がやってきた。 2羽は体を擦り寄せ暫く男を見ると、躊躇うことなく仲良く飛び立った。 □おわりんご□
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加