56人が本棚に入れています
本棚に追加
その様に多くの霊に話しかけられ、時に滅しながら走り、学校まで後数分の所まで来たのだが、彼女と並走するように一人?の霊が付いてくる。
その霊は袈裟を着た僧侶の姿である。
『骸よ、この先は気を付けよ、神に近付きし怨霊がおる。儂も対処しようとしたのだが取り込まれぬようにするので精一杯であった。迂回するが吉と見るが?』
彼は江戸時代の高名な僧侶であり、即身成仏となった一種の神に近い存在である。
「ありがと、でも急いでいるからこのまま進むね!!」
骸はおもむろに鞄を漁ると、本連数珠と清め塩を取り出し、右手で握る。
『…そうか、儂は既に常世の住人ではない故これ以上口出しはせぬが、死に急ぐでないぞ?』
「分かってる。あ、散らばった欠片の処理お願いします。」
そんな会話をしているうちに、怨霊の待ち受ける交差点にさしかかる。
途端、骸の前に暗い泥の人形が立ちはだかる。
「私の行き先を遮るな!!」
本連数珠と清め塩を握った右手でその人形を殴る。
たったそれだけで、神の領域まで至った怨霊が微塵となり、大部分が浄化、ほぼ害の無い悪霊へと弱体化した。その状態でも時間をかければ周囲の霊を取り込み、再度怨霊へとなるのだが、
「後は頼みました大僧正さま」
『うむ、任された。』
正の霊である即身成仏の彼がいるので跡形もなく浄化されるのであった。
これが、骸の日常である。
最初のコメントを投稿しよう!