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バリバリと世界を引き裂くような轟音。
部屋の中にいても雨と雷の音が聞こえてきていた。
だけど、部屋の中から響く悲鳴のような声はそれ以上の衝撃だった。
「今、落ちた。絶対近所に落ちた!」
「近所? 光と音に時間差あったから大丈夫だって。はい、タオル」
「なんで愛ちゃん、そんなに冷静なの!」
「なんでって、私、別に雷は嫌いじゃないし」
夜9時にバイトが終わると外は大雨と雷で酷いことになっていた。
あまりに酷すぎて、一緒のシフトに入っていたバイク通勤の穂積くんが困っていたので、近所である私のワンルームマンションに一時的に避難することとなった。
「普段スマートな穂積くんが雷で取り乱すってちょっと意外」
タオルで髪を拭きながら、いちいち外の音に反応する彼が新鮮だった。
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