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「いいって。私は大丈夫だから。穂積くん使ってよ。ホント、大丈夫だから」
「だめ」
断ろうとしても握られた手がそのままで動くことができない。当たり前だけど、大きな手は弟とは全く異なるものだった。
「ほら、入って」
結局彼に促されるまま、ひとつのタオルケットを二人で肩に掛けることになった。だけど、肩の高さが違っていて隙間ができているから、暖かいとは言い難い。それなのに、なんだか気恥ずかしくて身体が熱くなる。
というか、手を握るとか、なんでそんなことしちゃったんだろう……。正気じゃない……。
「やっぱり私、別の掛け布団使うから」
「いいから、ほら、寄って」
立ち上がろうにも、手を引かれて逃げられない。それどころか、肩が触れる距離に穂積くんがいる。
相変わらず雷の音は酷いのに、彼はさっきよりも落ち着いていた。
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