過ち

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両の手から聞こえる 猫の鳴き声は、かけらに潜む 私の寂しさを感じたのか、 とても物悲しかった。 ーそして、卒業まで、彼は本当に 保健室へ尋ねてくることはなかった。 健康診断の時や、保健の授業の時は 顔をあわせることもあったが 声を掛けることもなく そして声が掛かることもなく たまにクラスメートの誰かが 怪我をしたと聞いて 教室に出向くことがあっても 決して近寄ってくることもなく 廊下ですれ違う時も、こちらから チラリと見ることはあっても 彼の視線が追いかけてくるはずもなく あの時の過ちを正す術も 改めて謝る時も与えられないまま 時は過ぎていった。 そのまま卒業を通り越し 再開するその日まで………。
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