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「…やなぎせんせい、小柳先生!」
(………。)
職員室の窓際、朝方の冷え込みと違い
背中に当たる朝日が適度に暖かく、
ついつい眠気に負けてしまっていた。
ー小柳美歩、35さい。花の独身。
決して売れ残りとは
言わないでほしいお年頃である。
そして、この千尋(せんじん)学園
中等部の養護教諭になって
早10年が経とうとしていた。
「…おい!小柳。起きろ!」
「…おわっ!」
不意に椅子の背持たれから
衝撃波を感じて
気持ちいい微睡みから強制的に
現実に引き戻される。
文字通り、前方の机に向かって
飛び起こされた
衝撃波の発生元を確認すれば
背後に鬼の形相の先輩の姿があった。
椅子の背もたれを蹴る、
いや…蹴った姿で。
「…あ。綾瀬先輩、
おはようござい…ます…!」
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