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「小柳、お前いい加減にしろよ!
今は寝ていい時間じゃないだろ!」
「いたっ。
ちょ先輩、痛いって。耳がちぎれるー」
背後から私のすぐ隣に移動して
右耳を思いっきり引っ張ってるゴリラ。
もとい、綾瀬郷司(あやせごうし)、42歳。
現役柔道家は、このガタイの良さに反し
なんと私の相棒の一人。
千尋学園の養護教諭でもあり、
大学の先輩でもあった。
「…ほんと、先輩ったら、横暴ー」
「何がだ。朝のミーティング中に
寝てる方がわるいだろ」
先輩のおこごとのあと、
やっとで離してもらえた右耳を
スリスリと撫でていると
向かいに座ってジッと私達のことを
見守っていた眼鏡な優男が
声を掛けてきた。
「…まぁまぁ。綾瀬先生も小林先生も
落ち着いて下さいね。
騒げば騒ぐだけ時間なくなりますよ」
「…那珂川先生。
目がわらってなくて怖いです。
そして、私は小林ではなくて小柳です。」
「おや、そうでした?」
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