19966人が本棚に入れています
本棚に追加
案外衝撃的なセリフだったように思う。
それを聞いて、聞き返さずにはいられなかったんだから。
「え?」
陣内くん、ものスッゴい面白い事聞いたよね?
いま、なんつった??
「あー、お前それ聞いちゃう?」
ボスが楽しそうに笑って
網の上の分厚いお肉をひっくり返していく。
いやいや、確かに陣内くんとはさ
もう、なに?何ヵ月?って、たった2ヶ月しか
一緒に働いてないじゃん!
だけど、物凄く濃厚濃密な日々を過ごしてるよね?
週末は確実に寝起きを共にして、毎日顔を付き合わせてさ?
そりゃ、お互いの家族なんかよりずっと長い時間一緒にいるけどさ?
いや、私は家族と住んでないけどさ?
「だから、ちゃんとセックスしてます?」
「…………あんた失礼よ」
これだからちょっと容姿(=見てくれ)のイイ奴は
マジでウザイ。
大笑いするのは、ボスだった。
網目に焼き印の付いたまだまだレアな肉を私の皿にポイと投げながら
「ちょっと昔まではちゃんとシてたよな?」
そんな事を言う。
「ボス、うるさい」
どうすんのさ、この空気。
マジどうすんのこの……
「ヤバ、うまい……」
「だろ?お前レアが好きだもんな?」
ボスは昔とは違う、少しだけ歳を重ねた笑顔を見せた。
最初のコメントを投稿しよう!