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まるで、
遺書めいた手紙だった。
そこに残っていた彼女の痕跡というのは、
流麗な線で描くように記された、
シンプルな一通の手紙だけ。
彼女の暮らしていた部屋のはずなのに、
どこにも彼女が使っていたような家具もない。
どこにも、
本当に。
誰かが生活していたかのような独特の空気すら、
その一室から消え去っていた。
僕は、
ほんの気まぐれに、
探偵のような事をしていた。
本職の人たちに比べれば本当に、
遊びのようなことでしかないけれど。
それでもそれが、
今の僕にとって、
1番のやりがいのある仕事だと言うのも間違いは無い。
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